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 鹿野城跡の薬研堀に蛇姫がいたといわれています。薬研堀の蛇姫さんは、それはそれは美しいお姫さまだったそうです。ただ上半身が女体で、豊かな長い髪をして、雪のようにまっ白い肌、豊かな胸乳をした美女だといわれ、下半身は鱗(うろこ)におほわれた蛇体だったといわれています。
天保(てんぽう)の頃(1830〜1843)に、水谷の若者が鹿野に使いにでて、その帰りのことだったといいます。少し時間がおそくなっていたので、急いで歩きながら、ふと薬研堀のほうを見ますと、黒松の根元で長い黒髪を櫛(くし)ですいている蛇姫の姿が白く見えました。そばによってじっくり見ようとすると、蛇姫は「私に出会ったことを、他人に言ってはいけない。もし他人に言ったりしたら、お前の命はないものと思え。」といったそうです。
若者はほうほうのていで家に帰ると、七日七夜ふとんをかぶって、ふるえていたといいます。それから藪年の後、若者は重い病にかかり、もう命はないと悟って、この蛇姫と出合ったときのことを話して、息絶えたといわれています。


 

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