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 お大師さんが、弘法屋敷におられたころのことです。寒い寒い北風の吹く月に、お大師さんはある農家に足をとめ一休みされたとき、この農家では味噌をついていました。味噌をつくのはいそがしく、家中の者がみんな力をあわせて働いていました。
 お大師さんが見ておられると、その家の目のよわったおばあさんが座敷に落ちている味噌のかたまりのようなものを見つけ、「ああ、またこの子が味噌を落として。」といってそのかたまりをポンと臼の中へ投げこみました。
 やがて、味噌は臼の中で充分につかれてできあがりました。そこで、味噌をもちにして、お大師さんに「さあ、一つ食べてください。」といって差し出しました。ところがお大師さんは、さきほどのおばあさんが投げ込んだ味噌のようなものが、味噌ではなく幼い孫のウンコだったのを見ておられたので、「いや、師走味噌は食べるものではない。私はけっこうです。」といって断られました。
 このことから、「師走味噌は食べるものではない。」「師走味噌は作るものではない。」といわれるようになって、師走(12月のこと)には味噌をつくらないようになったといいます。


 

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